スタートアップの支援策おすすめ一覧【2023年最新版】

スタートアップの支援策おすすめ一覧

スタートアップ支援とは、これから創業したい人や起業してすぐの人、ベンチャー企業などを支援する制度のことです。すでに起業している人だけではなく、これから創業したい人も含まれます。

支援の内容は多岐に渡り、融資や補助金・助成金などお金にまつわるものから、経営者のアドバイスなどノウハウの提供、手続きのサポートなどが含まれます。2022年には岸田総理がスタートアップ支援の強化を明言したため、2023年の今、どのような制度があるのか解説します。

岸田総理が掲げるスタートアップ支援とは

岸田総理が掲げるスタートアップ支援とは

岸田総理は、スタートアップ支援を掲げていて、オープンイノベーションへの税制優遇や政府からの資金調達支援などがこれに該当します。実際にスタートアップ育成分科会に出席し、スタートアップの創出と成長の加速に向けた支援策を策定することも明らかにしています。

また、岸田総理が主導して経済産業省も補助金や融資などスタートアップの成長を直接サポートする支援策を決定しました。さらに、投資家・研究機関・大学・自治体の活動などでスタートアップの成長を支援できるように国を挙げて体制づくりを進めています。

2022年度補正予算案で支援が強化される

2022年度補正予算案で支援が強化される

2022年度補正予算案において、政府はスタートアップ支援を強化することを明確に打ち出しました。1兆円規模の支援が予定されていて、今後の展開に期待できる状況です。才能ある人材の育成支援や先端技術分野の社会実装を推進するなど、今までにない多くの取り組みが含まれています。

また、スタートアップ育成分科会では、「メンターによる支援事業の育成規模を年間70人から5年後に500人に拡大する」「未踏事業等を通じた若い人材への支援制度の拡大する」など具体的な数値や案が出されています。加えて、若手向けの人材育成に補助金を出すことが決まり、新しい世代がより活躍しやすくなる見込みです。

スタートアップ支援の事業内容例

スタートアップ支援の事業内容例

スタートアップ支援にはいくつもの観点があります。どのような事業内容であるのか例を4つ解説します。

補助金や助成金

スタートアップ支援には補助金や助成金があります。上記で解説したとおり岸田総理が国を挙げて推進している支援もあれば、地方自治体が独自に推進している支援もある状況です。それぞれ、いくつもの支援が展開されているため、内容を確認して自分に適したものを使わなければなりません。

ただ、スタートアップ支援の内容は多岐に渡るため、自分自身で見つけるのは難しい状況です。そのため、以下の観点を軸としてスタートアップ支援を探してみましょう。

  • 国が展開している支援策
  • 居住している地方自治体が展開している支援策
  • 事業所がある地方自治体で受けられる支援策

岸田総理が進めているスタートアップ支援は国が展開しているものが中心であるため、経済産業省が提供する資料を確認してみることをおすすめします。経済産業省が主導するものは規模が大きく、まとまったお金を調達できるなどのメリットがあります。

また、地元に根付いた支援を受けたいならば、地方自治体のスタートアップ支援がおすすめです。地元経営者の協力を得られるなど、国の支援とは異なった支援を受けられます。

ノウハウの提供

スタートアップ支援には、知見やノウハウの提供が含まれています。例えばすでに起業している人から、創業についてのアドバイスを受けるのです。このような生の情報を自力で収集することは難しいですが、スタートアップ支援を活用すれば実現できます。

具体例として、都道府県などが運営しているスタートアップ支援機関があります。このような機関を訪問すると、起業を経験した人から直接アドバイスを受けられるようになっているのです。質問に答えてもらう形でノウハウを収集できます。

また、国や地方自治体から、大学のインキュベーション施設などへ人材が派遣されることもあります。創業に興味がある学生に向けて経験者が情報を発信するのです。また、必要に応じてコネクションを作ることで、学生の創業を加速させます。

融資

一般的な金融機関からの借り入れなど、資金調達の支援として融資があります。国や自治体が推進している制度を利用すると、通常よりも低い利率で融資を受けられるでしょう。また、信用力が弱くとも、ビジネスプランによっては融資してもらえるなどのメリットがあります。

融資は貸付であるため、事業を成功させて返済しなければなりません。そのため、今後の成長戦略やキャッシュフローなどを踏まえて融資してもらえるか判断されます。ただ、経済産業省の制度などを利用すると、国がある程度のお墨付きを与えてくれるため、直接申し込むよりも融資を受けやすいなどのメリットがあります。

投資

スタートアップ企業は、成長資金や新規事業の立ち上げ資金などを投資で調達します。投資家は、スタートアップ企業が成長しリターンを得られる可能性があるため、ある程度まとまった出資をしてくれるでしょう。投資は基本的に経済産業省などの支援を利用するのではなく「エンジェル投資」か「ベンチャーキャピタル投資」のどちらかを利用します。

エンジェル投資は、エンジェル投資家と呼ばれる、個人がスタートアップ企業に出資するものです。自分の経験などを活かして、今後、成長すると考えられる企業に投資します。

また、ベンチャーキャピタル投資は、プロの投資家集団である ベンチャーキャピタルがスタートアップを支援するものです。エンジェル投資よりもレベルの高い投資家であることが多く、事業計画や成長戦略を踏まえて投資するかどうか判断されます。

経済産業省のスタートアップ支援策一覧

経済産業省のスタートアップ支援策一覧

画像出典:スタートアップ支援・経済産業省

経済産業省は現時点で69種類のスタートアップ支援策を提供しています。すべての人がすべての支援策を利用できるわけではありませんが、事業内容や経営状況を問わず、何かしらのスタートアップ支援策を利用できると考えてよいでしょう。

スタートアップ支援といえば成長している企業向けだと思われがちですが、経済産業省の支援は創業や起業家に向けたものが多数あります。そのような資源を活用することで、ビジネスをスムーズに立ち上げたり、その後のスムーズな拡大が可能です。

例えば、経済産業省のスタートアップ支援に「新規開業支援資金」と呼ばれるものがあります。一般的な金融機関の借入よりも低い利率で借り入れできて、返済までの期間も猶予期間が設けられているものです。融資の限度額も高額であり、スタートアップの資金調達問題を解決してくれます。

また、「エンジェル税制」と呼ばれる、個人投資家を支援する制度も存在しています。個人投資家を優遇することで、スタートアップ企業が資金調達しやすくするものです。

これらは一例であり、経済産業省は非常に多くのスタートアップ支援を実施しています。関連事業も多くあるため、経済産業省のWebサイトを参照したり問い合わせたりしてみましょう。

自治体によるスタートアップ支援関連事業の例

自治体によるスタートアップ支援関連事業の例

経済産業省だけではなく、都道府県や市区町村などでもスタートアップ支援事業が展開されtいます。今回は都市部でどのようなスタートアップ支援関連事業があるのか例を紹介します。

東京都

東京都は日本の中心としてスタートアップ支援に役立つ施設や機関の運営に力を入れています。

TOKYO創業ステーション

東京都と東京都中小企業振興公社が共同で運営する創業支援の拠点です。事前にメンバー登録が必要ですが、これから起業する人も起業を考えている人も支援してくれます。

起業に興味がある人に向けては、参考になるイベントや起業家への相談イベントが開催されています。ナレッジの共有がスタートアップ支援では重要であるため、この場で習得できると考えましょう。

また、具体的に起業に向けて行動している人には、ビジネスプランの検討や資金調達のサポートなどを依頼できます。コネクションがないうちは経験者に相談しづらいため、スタートアップ支援を活用し効率よく情報収集しましょう。

東京開業ワンストップセンター

国と東京都が共同で運営する施設です。開業に必要な手続きをまとめて済ませられる施設で、スタートアップ支援の一環として提供されています。

また、基本的にはスムーズに開業するための施設ですが、中小企業診断士への相談が可能です。具体的な経営方法や起業に向けたアドバイスを教授してもらえるため、まだ手続きする段階ではない人でも利用できます。

なお、ワンストップセンターは赤坂にありますが、渋谷と丸の内のサテライトからも相談が可能です。事前に予約しておくなどの注意点はありますが、利便性の高さも魅力と考えましょう。

大阪府

大阪府も経済が発展している都市であり、多くスタートアップ支援が展開されています。なお、大阪府では「ベンチャー企業支援施策」とされているものも多いですが、実質的にはスタートアップ支援であるため、これらも含めて紹介します。

LED関西

大阪府を中心とした関西の女性起業家を応援するための制度です。女性目線の「想い」や「夢」を実現するために、専門家によるサポートを受けられるようになっています。事業展開にあたっての課題などを解決可能です。

ただ、自由に利用できる支援ではなく、予選を通過して事業に採択されなければなりません。毎年、支援を受けられる事業の数は制限されているため、より良いビジネスプランを思いつき、勝ち抜くことが求められます。

近年はジェンダーレスが重要視されているため、このような女性を支援する事業が増えています。女性独自の目線を支援するものも多いため、利用できるならば活用してみましょう。

大阪起業家グローイングアップ事業

大阪のさらなる発展を推進するために、起業家を支援する事業です。こちらも採択には条件と審査がありますが、採択されると起業経験者などのサポートを受けられます。ハンズオン支援が含まれているため、着実に事業の成長をサポートしてもらえるのです。

資金面での支援は上限が100万円と極端に高いものではありません。ただ、無料で起業経験者や中小企業診断士のサポートを受けられることは大きなメリットです。自分自身で依頼すると費用が発生するため、手厚いサポートといえるでしょう。

注意点として採択されるまでにはいくつものステップがあり、面接やプレゼンテーションなどが含まれます。クイックに利用できる制度ではなく、計画的に利用しなければなりません。

民間企業によるスタートアップ支援サービスの例

民間企業によるスタートアップ支援サービスの例

民間企業もスタートアップ支援を提供しているため、どのようなサービスがあるのか例を紹介します。

サイバーエージェント

サイバーエージェントはスタートアップ支援の文化がある企業として有名です。積極的な創業を支援していて、社内ベンチャーとしていくつもの企業が設立されています。

また、社外のスタートアップ企業を支援するために、株式会社サイバーエースを設立しています。サイバーエージェントの内部で培った経験を活かして、中小企業を支援するためです。サイバーエージェントのスタートアップ支援を活かしたサービスであり、非常に充実しています。

加えて、サイバーエージェントということもあり、ITツールの提供も行われています。ノウハウだけではなく、テクニカルにもサポートしてくれるのです。

楽天グループ

楽天グループはスタートアップを支援するためのファンドを保有しています。楽天キャピタルと呼ばれる会社で、世界中のベンチャー企業を支援するために設立されました。

ただ、こちらが投資ファンドであるため、投資に対するリターンを重要視しています。利益を得るために投資するのであり、希望すれば投資してもらえるとは限らないものです。

三菱UFJ銀行

三菱UFJ銀行はスタートアップを全面的にサポートしています。ビジネスプランの立案から資金調達、創業してからの問い合わせ対応など非常に幅広いものです。

また、三菱UFJ銀行は全体で様々な企業を有しています。スタートアップ支援で求める内容によっては、関連企業と協力したサポートを提供できるという点が魅力です。

利用時に専門家による審査が設けられている場合がある

利用時に専門家による審査が設けられている場合がある

利用するスタートアップ支援によっては利用時に専門家による審査があります。事前に認識しておくことで準備できるようになるため以下を確認しておきましょう。

申込み内容などが評価される

スタートアップ支援の内容によっては、申し込み内容が評価されます。専門家の厳しい目線で評価されて、スタートアップ支援を受けられるかどうかが決定する流れです。評価や審査がないスタートアップ支援もありますが、厳しく狭き門のスタートアップ支援もあると理解しておきましょう。

例えば、資金調達に関連するスタートアップ支援は、このような評価や審査が設けられています。事業計画書を作成するなど、金融機関から融資を受けるようなイメージで準備しなければなりません。事実、資金調達は金融機関からの融資なども含まれるため、厳しい審査が設けられているのもやむを得ないでしょう。

また、スタートアップ支援策の中には特定の業界やビジネスモデルにのみ適用できるものがあります。例えば、医薬や医療業界のみ利用できる制度が存在しているのです。このようなスタートアップ支援は採用条件が細かく定められているため、それをクリアしている場合のみ利用できます。

逆にノウハウの提供を受けるなど、事前の申し込みすら必要がない支援もある状況です。自分が利用しようとしているものはどのような条件で利用できるのか、細かく確認しておきましょう。

専門家によるサポートを受けて申し込むのが良い

スタートアップ支援で審査が設けられている場合は、専門的な書類を作成しなければなりません。例えば事業計画書や今後の資金計画などです。これらは素人でも作成できますが、専門的な知識がなければ内容が甘くなってしまう可能性があります。

そのため、審査が設けられているスタートアップ支援を利用する際は、専門家によるサポートを受けて申し込みすることをおすすめします。例えば、中小企業診断士に相談して、アドバイスを受けながら作成するのです。また、起業した人の意見を取り入れてみるのも良いでしょう。

ただ、皆さんの中には「相談できる人がいない」という人がいるはずです。しかし、スタートアップ支援には、このような資料の作成支援を受けられるものがあります。つまり、スタートアップ支援に申し込みするために、別のスタートアップ支援を活用するのです。

スタートアップ支援に疑問があるならば市区町村でも相談可能

スタートアップ支援で何かしらの疑問や課題を抱えた場合は、市区町村のサポートを受けられます。経済産業省はそれぞれの市区町村に対して、スタートアップ支援のサポートを指示しているからです。自治体によって受付してくれる部署や方法には違いがあるため、まずはインターネットで調べてみましょう。

また、市区町村のサポートで嬉しい点は、基本的に無料で利用できることです。企業に属している専門家に相談すると費用が発生しがちですが、市区町村ならばその心配はありません。疑問は気軽に相談して解決してもらえます。国と都道府県が提携している機関も同様です。

ただ、実費が発生する場合は自己負担しなければなりません。例えば、スタートアップ支援でビジネスプランについて相談し、その後、法人を設立する際は多くの自己負担が生じます。とはいえ、大半は費用も気にすることなく相談できるため、積極的に市区町村のサポートを活用しましょう。

まとめ

スタートアップ支援は国や地方自治体が創業したい人や起業したての人をサポートする制度です。岸田総理が力を入れていることもあり、国のサービスも地方自治体のサービスも充実してきています。これから創業したいと考えるならば、積極的に活用したほうが良いでしょう。

ただ、制度の中には支援を受けるための審査が必要なものがあり、時には専門的な書類が必要とされます。専門家の協力なしには作成できないため、まずはスタートアップ支援の一環で、中小企業診断士などに相談できる制度の活用がおすすめです。