Googleのリンクスパムアップデートとは?影響や特徴、対策について解説

Googleのリンクスパムアップデートとは?

Googleは常に不正と向き合い、悪質なサイトやリンクを除外するアルゴリズムを継続的に更新しています。今回詳しく紹介するリンクスパムアップデートもその1つで、悪質なスパムリンクを排除するため、2021年に更新され、以降も随時アップデートされています。

自社の運営しているWebサイトを確認後、もしスパムリンクがある場合は、放置していると大幅に検索順位を落とす原因にもなるので、早急に適切な対処法を実施したいところです。

そこで、ここではGoogleが更新したリンクスパムアップデートの詳細概要、およびWebサイトへの影響とスパムリンクが見つかったときの正しい対応などをまとめて解説します。

目次

Googleリンクスパムアップデートの概要と直近のリリース

Googleリンクスパムアップデートの概要と直近のリリース

度重なるスパムリンクの対応として、Googleは2021年に2度にわたり「リンクスパムアップデート(Link Spam Update)」を更新しているほか、それ以降も複数回にわたりアップデートを繰り返しています。最新版は2022年12月の「December 2022 link spam update」です。

スパムリンクとは簡単に言えば「ランキングを意図的に上下させるために作ったサイトへ繋がるリンク」となります。Googleはかねてより「検索品質の向上」に努めており、今回のリンクスパムアップデートも適切にWebサイトを評価するためのアルゴリズムの更新と見なすことができます。

また今回のリンクスパムアップデートはかなり大規模・広範囲にわたって実施され、日本語以外にも複数の言語も同様にアルゴリズムが更新されました。

不正リンクの排除はペンギンアップデートから開始

Webサイトの運営企業各社がSEO対策に予算を注力しはじめた2010年頃より、Googleはコンテンツの品質とスパムサイト・リンクの排除をするため、「パンダアップデート」と「ペンギンアップデート」の更新を開始しました。

そのうちスパム対策となるのがペンギンアップデートとなり、2012年から複数回にわたる更新を経て、悪質な方法で検索順位を上げるブラックハットの手法は大きく制限されることになりました。

スパムは大きく分けて「リンク」と「コンテンツ」がある

スパムとは簡単に説明すると「悪質かつ危険性の高いサイト・リンク・コンテンツ」を指します。スパムサイトやコンテンツは「過剰なキーワードの詰め込み・隠しテキスト・ワードサラダツールの使用・多用な広告誘導」など検索エンジン対策をしたユーザーにとって“無価値”なサイトコンテンツを指します。

一方で、スパムリンクとは「悪質なサイトから貼られたリンク」です。往々にして低品質のため、数多くリンクを貼られることによって、当該Webサイトの検索順位が大幅に下がってしまいます。また、以前はまかり通っていた「リンク集」も昨今はスパムリンクとして見なされるケースが散見されます。

通常リンクとの違いとWebサイトが受けるランキングの影響

通常リンクとの違いとWebサイトが受けるランキングの影響

通常、被リンク(外部サイトからリンクを貼られている状態)というのは不特定のユーザーが当該サイトを気に入ったため、自発的にリンクを貼って紹介することで増えていきます。ナチュラルリンクとも呼ばれ、昔から現在に至るまで、キーワード検索による検索順位の上位表示を狙うにあたって重要なSEO対策と見なされています。

一方でスパムリンクは低品質かつ悪質なサイトからのリンクとなります。コピーコンテンツが量産されたサイトやマルウェアが含まれるサイト、ペナルティを受けているサイトなどが該当し、これらのサイトに自社サイトのリンクが貼られてしまうと、自社サイトもペナルティを受けてしまい、大きくランキングを落とす要因になります。

健全なサイト運営であればリンクスパムアップデートの影響はなし

通常、健全に運営しているWebサイトであれば、リンクスパムアップデートの影響を受けることはありません。

もし過去にIT企業やWebマーケティング業者から被リンクを購入したことがある、というサイト運営者は、リンクスパムアップデートによって当該リンク先が低品質・悪質なサイトと見なされた場合、検索順位が変動した可能性があります。

リンクスパムアップデート後にランキングが変動した場合

リンクスパムアップデートの後にサイトランキングが上下した場合は、自社サイトにスパムリンクが貼られていた可能性があります。リンクスパムアップデートは不正リンクの排除となるので、もし検索順位が軒並み上がったのであれば、自社の意図していないスパムリンクが貼られていたと考えることができます。

アフィリエイトサイトやサービス業界がスパムリンクの被害を受けやすい

アフィリエイトサイトやサービス業界がスパムリンクの被害を受けやすい

スパムリンクは一般的に競合サイトの検索順位を落とすネガティブSEOの手法として知られています。通常のコーポレートサイトやブログサイトではスパムリンクの被害を受ける事例はあまりないため、リンクスパムアップデートに関しても影響はほとんどなく、「そんなアルゴリズムの更新が存在したことすら知らなかった」という人がほとんどでしょう。

一方でアフィリエイトサイトや通販サイトなどを運営しているサービス業界にとって、スパムリンクはかねてより問題視されており、今回のリンクスパムアップデートでスパムリンクが排除されたことを受け、大きく順位を上げたというWebサイトも少なくありませんでした。

収益性の高いサイトは注意が必要。競合サイトが狙っているかも

スパムリンクを貼られて多大な被害を受けやすいのは、アフィリエイトや通販サイトの中でも「収益性の高いサイト」となります。

収益性の高いキーワードや商材を販売するWebサイトは、どのサイト運営者も狙っています。しかし、昨今は競争が激しいため正攻法でSEO対策をしても結果が出る保証もなく、何年も前から検索エンジン対策をしているWebサイトに勝つのは困難となり、何より時間と費用がかかってしまいます。

そのため、自社がSEO対策で検索順位を上げるのではなく、ネガティブSEOを用いて競合サイトを引きずり落とす方が早いと考える悪質なサイト運営者も存在するようになりました。

SEOに成功している検索順位上位の人気サイトは狙われやすい

業界問わずSEOの施策に成功しているサイトや、ユーザーから高い支持を受けている人気のサイトも同様にスパムリンクの被害に遭いやすいと言えます。どのキーワードでも検索順位の上位に表示されるサイトは、同業界に対して強いドメインパワーを持っているため、多少内容の薄いコンテンツであって「記事をアップしたら数日のうちに1ページ目に表示される」ようになります。

このような人気サイトは数多くのライバルサイトから狙われるため、中には引きずり落とそうと業者にスパムリンクによるネガティブSEOを依頼するところもあるかもしれません。

これまでのSEO記事が無駄になる可能性も。スパムリンクの種類

これまでのSEO記事が無駄になる可能性も。スパムリンクの種類

スパムリンクの被害に遭うと、ある日突然自社サイトがほとんどのキーワードに対して圏外になってしまいます。これまで数年かけて制作を続けてきた記事コンテンツもスパムリンクが原因ですべて無駄になってしまうこともあります。

2021年以降随時リンクスパムアップデートが実施されているものの、完全にスパムリンクが排除されたわけではありません。現在でもスパムリンクの問題に悩んでいるサイト運営者は数多くいますので、まずはスパムリンクの手口や内容を知り、早期発見と対処を心がけるようにしてください。

昔は流行ったがいまは不正と見なされる。「被リンクの購入」

上記でも触れましたが、「被リンクの購入」もGoogleガイドラインに反し、スパムリンクとしてみなされます。一昔前に流行った手っ取り早く被リンクを増やす手段の1つとなり、実際に一定の効果があったため数多くの業者が販売していました。

リンク元はリンク集であったり、Webサイトを制作してから数回だけ記事更新したようなハリボテのサイトがほとんどで、リンクスパムアップデートやスパムアップデートによってペナルティを食らっている可能性が高いです。

近年は被リンクの獲得によるSEO効果も以前ほど期待はできなくなっています。業者から被リンクを購入するのはGoogleが嫌う違反行為となるので、なかなか被リンクが増えないからといって焦って購入しないようにしてください。

リンク集も不正「リンクファーム」

例えばAさんとBさんが相互リンクをしたところ、Cさんが「私も混ぜて」とリンクの貼り合いに参加します。これだけならまだしも、業者は大量にサイトを作ってDさん、Eさんと次々に相互リンクする人を生み出し、不特定多数の人たちが集団で相互リンクする「リンクファーム」を作り出します。Googleが嫌悪するSEOの施策の1つとなり、一昔前に頻繁に見かけた「リンク集」もリンクファームの1つとなります。

被リンクの獲得はいまでもSEOの重要な施策となりますが、お互いリンクを貼り合う相互リンクがどこまで検索順位を押し上げる効果があるかは分かっていません。基本は一方通行のリンクが良しとされているので、あくまでもナチュラルリンクにこだわるのが自社サイトがペナルティを受けないポイントとなります。

海外サイトの被害多数「クローキング」

また、あまり聞きなれないかもしれませんが、「クローキング」もありがちなスパムリンクです。クローキングとは、ユーザー(人間)とクローラー(検索エンジン)とで異なるコンテンツを表示させる手法で、こちらもGoogleのガイドラインに違反しているスパム行為となります。

ユーザーに表示されるページは普通であっても、クローラーに対しては自社サイトのコピーコンテンツとなるのがクローキングを使ったネガティブSEOの手法です。それだけではなく、自社サイトに対して大量にリンクを貼っているので、Googleからするとクローキングと不正リンクの両方のペナルティを自社サイトに課すことになり、順位が大幅に下落します。

ブラックハットのSEO対策「隠しリンク」

ブラックハットの王道でもある「隠しリンク」もスパムリンクとして厳しく制限されています。コンテンツ内でリンクを増やすことを目的とした隠しリンクの定番は「背景と同じ文字色にする」、「フォントサイズを0にする」、「画像の後ろにテキストを隠す」などが挙げられます。いずれもユーザーの目には見えませんが、クローラーはしっかりと読み込んでくれることから、一昔前に流行ったSEO対策となります。

しかし、近年はクローラーの性能も向上し、正しい運用方法から外れているWebページは見逃しません。重大なペナルティを課せられる可能性があるので絶対に避けるようにしましょう。

また、10年以上Webサイトを運営している人は、悪質なSEO対策を講じている業者に間違って依頼してしまった可能性もあるので、念のため隠しリンクがないかページ内部を確かめてみるのがおすすめです。

無料で提供されている分析ツールの中には、ハイパーリンクを抽出できるソフトもありますが、Web初心者はどれが隠しリンクなのか判断できないかもしれません。そのときはSEO対策業者に相談して隠しリンクの排除を依頼するのもいいでしょう。

不正なスパムリンクの確認方法

不正なスパムリンクの確認方法

ライバルと差を付ける内容の濃い記事を投稿し続けていても一向に順位が上がらなかったり、すべてのキーワードに対してある日突然順位を大きく落とした場合、まずはスパムリンクが貼られていないかどうかを確認してみてください。

スパムリンクの確認方法は幾つかありますが、下記では初心者でもできる簡単な手法を4つご紹介します。

手作業でサイト内を回遊して外部ページへの誘導がないかを確かめる

まず、Web初心者でも簡単にできる方法が「サイト内のWebページを手動で確認する」ことです。アフィリエイトサイトの場合は販売サイトへの広告が肝となりますが、過剰な誘導はペナルティを受ける可能性があります。

また、ページを1つひとつ確認して、自分の知らない外部ページへのリンクが貼られていないかを確認することも大事です。以前SEO対策を業者に依頼していたり、日々の記事更新をフリーランスのライターに任せている場合は特に注意深く確認してください。

自社サイトをキーワード検索してリンクが貼られた悪質なサイトを見抜く

こちらはクローキングやリンクファームを見つけるときに役立ちます。自社で運用しているサイト名や記事のタイトル名を検索エンジンで検索するだけですが、クローキング被害を受けている場合、自社サイトのコンテンツがたくさんヒットしてしまい、場合によっては自社の記事よりも順位が上に表示されることもあります。

ただし、クローキングサイトをクリックしても表示されるのは通販ページなど自社サイトとはまったく関係ないページとなります。当然ユーザーは誤ってクリックしてしまう可能性が高く、自社サイトのブランド失墜にも繋がります。

また、自社サイト名で検索すれば、リンクが貼られているサイトをある程度見つけることも可能です。明らかに質の低いページや、まったく無関係の業界のサイトからリンクを貼られている場合は何かしらの対処を検討した方がいいかもしれません。

SEO分析ツールを使って自社サイトの被リンクを調査する

SEO対策を計画的に講じている企業の中には、他社サイトと差別化を図るため、有料のSEO分析ツールを導入しているところも多くあります。SEO分析ツールはソフトによって抽出できる情報や強みが異なるので、できれば被リンク調査に強い分析ツールを活用するべきと言えます。

有名どころでは「Ahrefs(エイチレフス)」が被リンク調査の定番ツールとなります。もちろんSEOキーワードの抽出やランキングの追跡も可能ですが、被リンクの分析では数や推移だけではなく、Ahrefsの独自指標に基づいたドメインパワーを数値化しているため、リンク元のサイト評価を視角化することができます。

Ahrefs公式HP:https://ahrefs.com/ja

Googleサーチコンソールを使ったスパムリンク確認方法

有料のSEO分析ツールは手作業で調べる情報のほとんどを自動で抽出できるのが便利ですが、決して安くはない費用がかかります。「被リンク調査だけだからお金は払いたくない」という人もいるでしょう。

そのときにおすすめできるのが「Googleサーチコンソール(Google Search Console)」です。Googleが提供しているため、他の無料ツールよりも信頼性が高いですし、何よりもGoogleアカウントがあれば誰もが簡単に利用できるのが魅力です。

使い方も簡単で、最初の管理画面の左サイドバーに表示されている「リンク」をクリックするだけです。内部リンクと外部リンクが区別して表示され、リンクの数とリンク元のサイトURLを確認できます。注意点としては、リンク元のサイトは見れますが、どこのページに自社サイトのリンクが貼られているかは不明です。

Googleサーチコンソールは、被リンクの解除をGoogleに申請する際にも必要となるので、SEO対策だけではなく健全なサイト運営を目指す企業は、必ず登録・設定しておき、ある程度の使い方は理解するようにしましょう。

スパムリンクのおすすめ改善・対処法

スパムリンクのおすすめ改善・対処法

上記では悪質なスパムリンクの確認方法を解説しましたが、以下では不正なリンクを発見した際の対処方法を説明します。スパムリンクの解除を実践する際は、念のためリンク元が本当に品質が低いサイトであるかを確認したいところですが、場合によってはページを開いたばかりにマルウェアに感染してしまうこともあります。

クローキングによるコピーコンテンツのサイトはURLの文字がおかしかったり、発リンクの数が異様なほど多いため、目ぼしを付けるのはそれほど難しくはありません。その場合はドメインごと拒否してしまうといいでしょう。

Googleサーチコンソールで被リンクの否認をする手順

最も一般的な被リンクを排除する方法がこちら「Googleサーチコンソール上で被リンクの否認を申請する」ことです。被リンクの否認方法は下記手順を模倣してください。

  1. Googleサーチコンソールの「リンク」から被リンクの状況を確認する。
  2. 否認したいリンク先をテキストファイル(txt)に纏める。
    1行に1つのURLを記入してください。ページを否認する場合はURLを記述。ドメイン自体を否認する場合は「domain:ドメイン名」と記述してください。
  3. リンクを否認申請するページへ飛ぶ:https://search.google.com/search-console/disavow-links
  4. プロパティを選択して当該自社サイトを選択し、「否認リストをアップロード」から先ほど作成したテキストファイルを送付。
    否認申請をしてすぐに被リンクが削除されるわけではなく、クローラーが再びクロールしたときに解析して否認するか否かを判断します。

サイト運営元にリンクの削除依頼を申請

もう1つのスパムリンクの対処方法となるのが「対象の運営元にリンク削除の問い合わせをする」ことです。ただし、リンク先が健全な管理者によるサイトであれば削除してくれる可能性はありますが、悪質なサイトであり意図的なスパムリンクの場合は期待できません。

リンクスパムアップデート後の対策方法

リンクスパムアップデート後の対策方法

リンクスパムアップデートによってスパムリンクの問題は大幅に改善されたとされていますが、それでもいまだスパムリンクによる被害は後を絶ちません。

スパムリンクの大きな問題として挙げられるのが、「狙われたら解決が困難」なことです。上述したように、現状解決できる現実的な方法はGoogleサーチコンソールから否認申請をすることのみとなります。

また、仮にスパムリンクをすべて解除できたとしても、一度大きく下落したサイト順位がいつまでにどこまで回復するかは不明ですし、サイトによってはまったく順位が上がらなくなってしまい、ドメインを変更してSEO評価をゼロからやり直すことになる可能性もあります。

Web担当者を配置し日々被リンクの確認をする

スパムリンクの被害を受けたのち早急に現状を回復させるためには、Webサイトを日ごろ管理する担当者を決め、こまめに被リンクの状況を確認することが肝要です。悪質なサイトから被リンクを受けても、順位が大きく下落する前に対処できれば被害を最小限に抑えることができます。

Googleからのペナルティ報告は常に対応する

また、Webサイトを運営していると、不定期にGoogleから「〇〇の問題が検出されました」というメールが届くようになります。大抵はユーザビリティの問題となり、放っておいても再度クロールされると事なきを得ることがほとんどです。しかし、Googleからの報告メールの放置に慣れてしまうと、スパムリンクのような大きな問題への発見が遅れてしまうかもしれません。

検索順位を決めるのはGoogleとなるので、そのGoogleからの報告メールは可能な限り対処するようにしてください。

まとめ:リンクスパムアップデート後も人気サイトは要注意

まとめ:リンクスパムアップデート後も人気サイトは要注意

今回はリンクスパムアップデートの概要やスパムリンク関連の確認・対応方法を詳しく解説しました。普段からマルウェアや不正ログインに対してセキュリティを講じているサイト運営者も、スパムリンクの対応には苦労している様子がうかがえます。SEO対策に成功の兆しが見え、徐々に順位と知名度が上がってくると、スパムリンクのリスクも増えてくることでしょう。

スパムリンクの被害に遭った場合は、早急にサイトを立て直すために、SEO対策業者やWebマーケティング業者に回復の相談をしてみるのも有効な方法です。