BingでChatGPTのように検索を使う方法。マイクロソフトによるAIチャットを活用してみる

BingでChatGPTのように検索を使う方法

Microsoft社が提供する検索サイトにBingがあります。検索といえばGoogleが主要ですが、Microsoftも負けてはいません。

このBingには、現在、AIを活用した検索サービスが導入されました。まだ、先行公開のような状態ではありますが、徐々に全貌が把握できるようになっています。今回はマイクロソフトが提供するBingのAIチャットと、似たサービスである「ChatGPT」についても解説します。

公式URL:https://www.bing.com/

EdgeからBingへのアクセスでAIチャットを利用できる

EdgeからBingへのアクセスでAIチャットを利用できる

BingのAIを利用するためには、パソコンのWebブラウザでもEdgeを利用してBingにアクセスすることが基本です。まずはどのようなサービスであるのか理解を深めておきましょう。

BingのAIチャットとは

BingのAIチャットとは、Bing検索に統合された新しい機能です。BingのAIチャットでは、OpenAIの最新の言語モデルを利用して、質問に回答してもらうことが可能です。また、「チャット」と銘打っているとおり、AIとの会話を楽しめるようになっています。会話しながら質問の答えを示してもらうことが可能で、加えて、追加の質問に答えてもらうことも可能です。

ただ、BingのAIは魅力的なサービスではあるものの、現時点では一部のユーザーのみが利用できます。後ほど解説しますが、「順番待ち」と呼ばれる手続きが必要で、手続きしてから一定期間が経過してから使えるようになる仕組みです。どの程度の待ち時間が発生するのかは明言されていないため、使ってみたいならばできるだけ早く登録しましょう。

なお、AIチャットといえばBingのAIではなくChatGPTと呼ばれるサービスがあります。こちらは少し前に大きく話題になったもので、BingのAIと似たサービスです。ただ、根本的な仕組みや考え方が異なっているため、こちらについては参考記事をご確認ください。また、実際に利用した結果の比較を後ほど解説します。

ブラウザはEdgeのみ利用可能

BingのAIチャットをパソコンのWebブラウザから利用する際は、MicrosoftのEdgeを利用しなければなりません。それ以外のブラウザからアクセスすると「新しいBingでのみ利用できます」といった旨の内容が表示されます。つまり、他のブラウザでは利用できずEdgeの導入を進められるのです。

なお、現在は状況が少しずつ変化していて、パソコンのWebブラウザ以外ではモバイルアプリでもプレビュー公開があります。また、SkypeにBingのAIの機能が統合されていて「@Bing」で話しかけると対応してもらえる状況です。パソコンのWebブラウザから利用する際は制限がありますが、ブラウザ以外にも利用方法が広がっています。

新しいBingでチャットを利用するためには事前作業が必要

新しいBingでAIチャットを利用するためには、「順番待ち」と呼ばれる事前作業が必要です。まずはBingのAIを利用するためにこの手続きを済ませておきましょう。

まず、パソコンからMicrosoft Edgeの公式サイトにアクセスして、「順番待ちリストに参加する」をクリックします。

順番待ちリスト

順番待ちするためには、Microsoftアカウントでログインしなければなりません。もし、アカウントが無いならば順番待ちにあたって作成しましょう。もし、すでに保有しているならば、そのアカウントで差し支えありません。ログインできると順番待ちの手続きが完了したことが示され、以下のとおりメールが送付されます。

待機中メール

こちらのメールが届いたら順番待ちの手続きが完了しています。実際に利用できるようになるまで待機しましょう。なお、利用できる状況になると以下のようなメールが届きます。

利用開始メール

こちらのメールを受信した段階でパソコンのWebブラウザからBingのAIチャットを利用できるようになっています。事前にアクセスしたならば表示が変化しているはずであるため、まずはアクセスしてみましょう。

マイクロソフトのAIチャットおすすめの使い方

利用開始メールを受け取ったならば、まずはBing検索のトップページへとアクセスしましょう。「何でも聞いてください…」と書かれた検索ボックスがあるため、そこに質問したい内容を入力します。

検索結果

検索結果が表示されるため、タブに表示される「チャット」をクリックします。そうすると、以下のとおりBingのAIチャットが表示されます。

BingのAIチャットトップ画面

最初は検索フォームに打ち込んだ質問に対する回答が表示されます。「何でも聞いてください…」の部分に質問を入力すると、まったく別の話題でも対応してもらえます。

また、BingのAIチャットは会話式であるため、こちらの検索に対して追加の要望がないか質問してくれます。こちらをクリックすることで、簡単に追加の質問ができる仕組みです。今回は「花」を使った有名な俳人は誰ですか?をクリックしてみます。

追加の質問と結果

このように追加の質問が自動的に入力され、それに対する回答が得られます。自分が思いついていなかった質問が提示されることもあり、検索をよりスムーズにしてくれる仕組みです。

また、回答には「詳細情報」と呼ばれるものが記載されていて、これをクリックすることで回答のソースとなったWebサイトを表示できます。回答内容が正確であるかどうか確認したい場合やソースを明確に把握しておきたい場合は、こちらのリンクからWebサイトを参照すると良いでしょう。

もし、一通りの質問が終わって、AIチャットを新しく開きたい場合には、以下のほうきボタンをクリックします。

回答のリセット

こちらをクリックすると内容がリセットされて、新しく質問を開始できます。ここまでがBingのAIを利用する一連の流れです。

また、質問の仕方によっていくつか表示があり、例えば比較表を作成してもらうことが可能です。

表形式の回答

アウトプットの形式を指定することで表形式で回答してくれます。ただ、質問の仕方に左右される部分があるため、上手く出力されない場合は質問を工夫してみましょう。

また、以下のように利用する用途を指定することで、その用途に沿った文章を考えてもらうことも可能です。

メール本文の作成

ただ、全体的に長い文章の作成には向いていません。また、条件が曖昧な場合は質問を繰り返されてしまいます。細かく指定して、100文字程度の文章を作成してもらうことをおすすめします。

なお、BingのAIが提供されてすぐはWebブラウザの検索結果から直接文章を作成してもらうことが可能でした。ただ、現在はこちらの機能が一般公開されておらず、質問のときに指定することで実現できるようになっています。開発中のサービスであり、今後も変化する可能性があるため注意しましょう。

iPhoneやAndroidなどのスマートフォンにも対応

BingのAIチャットはiPhoneやAndroidにも対応しています。続いてはiOSやAndroidが搭載された、スマートフォンやタブレットからChatGPTを利用する方法について解説します。

スマートフォンからの利用方法

スマートフォンから利用する場合は基本的にMicrosoftEdgeのアプリをインストールしなければなりません。現時点では利用できるブラウザが限られているため、スマートフォンから利用する場合も同様に注意するようにしましょう。AndroidもiOSも標準で導入されているWebブラウザがEdgeではないため、特に何もしていないなら新しいブラウザの導入が必要です。

また、ブラウザ以外ならばSkypeのスマートフォン向けアプリから利用できます。上記で解説したとおり、Skypeから呼びかけできるようになったため、スマートフォンでも機能が提供されているのです。すでにSkypeを導入しているならば、Edgeをインストールしなくても新機能が利用できます。

スマートフォンから利用する際の注意点

BingのAIはテスト公開中であるため、スマートフォンにおいても全員が利用できるわけではありません。パソコンと同様に順番待ちを登録して、順番が回ってきたユーザーから順に使えます。パソコンから手続きしていないならば、スマートフォンから手続きしなければなりません。

また、細かな仕様については不明ですが、パソコン版で利用できてもスマートフォンでは利用できないことがあります。スマートフォンのSkypeアプリから利用しようとすると、回答を得られませんでした。何かしらの制限が設けられている可能性があるため、どちらもできるだけ早く手続きすることをおすすめします。

BingのAIとChatGPTの違い

chatgpt

公式URL:https://openai.com/blog/chatgpt

マイクロソフトが開発するBingのAIとChatGPTはよく比較されるサービスです。続いてはこれらの機能面の違いや、実際に利用してみたの違いについて解説します。

機能面

BingのAIとChatGPTはどちらもOpenAIの次世代大型言語モデルを採用しています。このモデルを検索に特化できるようカスタマイズして、利用者からの質問に応えられるようにしているのです。仕組みや考え方としては似ていると考えましょう。

ただ、BingのAIにはChatGPTに採用されているGPT-3.5を発展させたPrometheusと呼ばれるモデルを採用しています。これはマイクロソフトが独自に開発したものです。マイクロソフトがさらに発展させているという点で、ChatGPTよりも優れていると考えられています。

また、BingのAIはBingSearchと呼ばれる検索エンジンの仕組みを活用可能です。これによって、検索結果に基づく最新の情報を回答に反映できます。それに対してChatGPTにはこのような仕組みはなく、学習モデルとして採用された2021年までの情報やデータしか活用できません。

信頼性

BingのAIもChatGPTも質問に対して回答してくれますが、信頼性という観点ではBingのAIが優れています。これはBingのAIがWebサイトを検索した結果を活用し、最新の情報で回答してくれるからです。また、BingのAIはChatGPTと違って参考にしたWebサイトが示されるため、ファクトチェックがしやすくなっています。

そもそも、ChatGPTは2021年までの情報で学習した内容を中心に文章を作成するため、新しい事実や通説などを反映することができません。例えば、2022年の流行語には事実を反映できず、以下のような回答になってしまいます。

ChatGPTによる回答

実際には大きく異なった言葉が流行語大賞を取りましたが、そのような情報は一切含まれていないのです。また、「2022年は始まったばかり」という時点で嘘であり、信頼性には欠けてしまうと言わざるを得ません。逆にBingのAIはBingSearchによる検索が可能であり、最新の情報を反映できます。

ただ、言葉の定義など過去から変化がなく、確実なエビデンスがあるものは正確な回答を得られます。また、ChatGPTの特徴として箇条書きを多用するため、要点を押さえた分かりやすい文章が表示されるのです。最新の情報という意味ではBingのAIに大きく劣りますが、内容によってはChatGPTが分かりやすく、正確にまとめてくれます。

創造性

マイクロソフトのAIもChatGPTどちらも創造性のある文章を作成してくれます。独創性のある文章とは言い切れないですが、十分な文章だと言い切って良いでしょう。

ただ、それぞれに文章を作成してもらうと方向性は大きく異なります。例えば、「宇宙人が攻めてきたら日本はどうなるか」という質問に対しての回答は以下のとおりです。

Bing

まず、Bingは依頼に対してさらなる質問を投げかけてきます。これはBingのAIが対話型のAIであるメリットを存分に活かしている部分だといえます。今回は「私に小説を書いてほしいです。」を選択してみましょう。

Bing AIチャットによる回答

選択すると文章を書き進めてもらうことが可能です。BingのAIはまだ開発中ということもあり、小説を書くことに慣れていないという前置きが書かれています。ただ、今回の場合は数千文字の小説が完成しました。

Bing AIチャットによる回答

内容を確認してみると、比較的、現代の科学に基づいていると考えられます。例えば、今回の「空から巨大な円盤が現れた」はUFOを指しているでしょう。言い換えられているものの、実際に存在するものが小説に活用されています。

このような小説が完成する理由は、BingSearchによって実際に存在するWebサイトなどから情報を収集しているからです。一般的に「宇宙人といえばUFO」ということは容易に想像でき、実際に検索してみるとそのようなWebサイトは数多く見つかりました。実在する内容を小説に盛り込んでいることが推測できます。

また「宇宙人といえば円盤」「宇宙人といえばUFO」という印象が強いようで、同じ質問を繰り返しても同じような文章が展開される状況ですBingのAIが同じキーワードで情報を検索し、それをソースに小説を書くため、同じような文章になってしまうのでしょう。現時点ではBingのAIの弱点といえるかもしれません。

試しに、文章の一致率を評価するWebサイトに文章を取り込んでみると、高い割合で一致していることが確認できています。同じテーマに対して毎回異なる小説を作成することは難しく、検索アルゴリズムやその結果に依存していると想像できる結果です。

ChatGPT

ChatGPTは依頼に対していきなり文章を書き進めてくれます。質問を繰り返すタイプのAIではないため、このような場面でもChatGPTなりの解釈に沿って執筆される仕組みです。

執筆内容については冒頭でフィクションであることが書かれています。質問内容によってはこのような記載がないため、小説などフィクション作品を書く際は注意書きがあると考えて良いでしょう。具体的には以下のとおりです。

ChatGPTによる回答

内容を確認してみると、こちらもある程度は事実に基づいていると考えられます。ただ、漠然とした内容が中心であり、BingのAIほど具体的な小説ではない印象です。とはいえ、Webサイトで検索してすぐに同じような内容が見つかることはなく、ChatGPTなりに検討した結果だと考えられます。

また、ChatGPTはBingのAIのように検索結果に基づいた文章ではないため、同じ質問を繰り返しても異なる構造の焼成が提供されます。冒頭から内容が異なる小説が提示されることもあり、ここはChatGPTのメリットです。同じテーマで納得するまで小説を書いてほしいならば、ChatGPTが良いと考えられます。

比較結果

BingのAIははWebサイトから情報を集めているため、検索結果からある程度推測される文章が書かれます。その結果、事実やWebサイトで正しいと解説されている内容が小説の中心です。現実的な小説を希望するならばBingのAIが良いと考えられます。

逆にChatGPTはWebサイトから情報を集めず、すでに学習した内容から文章が書かれます。その結果、現実でありえないような文章が作成されることもあり、これが楽しみのひとつです。また、同じ文章ではなく、新しい文章が書かれます。

どちらが良いとは言い切れない

BingのAIとChatGPTはどちらが良いと一概に言い切れる状況ではありません。根本的に異なったサービスであり、用途に応じて使い分けすることが重要だと考えましょう。適切なものを選択できなければ、正しい内容を得られないのです。

例えば、事実や通説に基づいた内容を求めるのであれば、BingのAIのほうが断然おすすめです。Webサイトから情報を収集するため、最新の情報をスムーズに反映できます。ChatGPTは最新の情報を反映したサービスではないため、「最新のソースから回答を得たい」「昔にはなかった考え方について教えてほしい」などの要望はBingのAIでなければ解決できません。

また、ChatGPTは事前に学習していることから、BingのAIのようにソースが表示できない問題があります。BingのAIは回答と併せてソースが表示されるため、ファクトチェックが簡単です。それと比較すると、ChatGPTは文章を読んで念のために事実かどうか確認する作業が求められます。

ただ、独創性という観点ではChatGPTのほうが適しているでしょう。小説の例で説明したとおり、ChatGPTは質問のたびに異なった文章を作成してくれます。同じテーマを何度でも楽しめるという意味では、BingのAIよりもChatGPTが断然おすすめです。

まとめ

Microsoftが提供する新サービスのAIチャットについて解決しました。検索サイトのBingに追加された新サービスで、現時点では 一部のユーザーのみが利用できます。これからサービスが解放されると考えられますが、現時点では 順番待ちの登録をしなければなりません。

Webサイトから最新の情報を収集してくることが特徴で、新しい話題についても回答を得られます。Web検索で得られる情報ならば幅広く 回答してくれると考えてよいでしょう

なお、似たサービスにChatGPTがあり、こちらとは得られる内容が大きく異なります。必要に応じてこれらを使い分けすると良いでしょう。