長年、ある調理師専門学校様では、生徒管理をExcelや外部ツールで行われてきました。

現場の先生方が日々工夫を凝らしながら運用されていましたが、在校生・卒業生・新入生・受験生と多岐にわたるデータを扱う学校運営では、「どこが最新の情報なのか」「誰が更新したのか」を把握するだけでも大きな負担となっていました。

特に、年度切り替え時の進級・卒業処理や入試対応は、時間との戦いでした。複数ファイルを照らし合わせながら手作業で確認し、転記し、突合し……。ミスの許されない業務が山のように積み重なり、職員の皆様の負担は年々増していました。

この“積み重なる手間の連鎖”を根本から見直したい——。
そんなご相談をいただいたことから、本プロジェクトが動き始めました。

■ 分散していたデータを「ひとつの流れ」にするために
まず着手したのは、教育機関様の業務そのものを丁寧に紐解くことでした。

入試での志願者登録、合否判定、新入生の学籍発行。
入学後の生徒情報、出欠、時間割、成績、証明書発行。
そして進級判定、卒業処理、学納金管理。

これらの業務は独立しているようでありながら、実際には複雑に連動しています。
この“学校運営の流れ”を分断させず、ひとつにつなげること。
それが今回のシステムの核となるコンセプトでした。

■ 現場の先生が「迷わず操作できる」ことを最優先に
画面設計では、操作手順を極力シンプルにし、「どこを押せば次に進めるか」が直感的に分かるUIを徹底しました。

出欠入力は複数生徒をまとめて登録できるように。
成績入力は教科や学期で絞り込み、必要な情報にすぐアクセスできるように。
時間割は年間行事と連動し、矛盾やミスが起きないように。
証明書や名簿はワンクリックでPDF出力できるように。

毎日使う機能だからこそ、“操作の軽さ”を重視した設計を心がけました。

■ 目的は“管理の効率化”ではなく、“教育へ集中できる環境づくり”
今回のプロジェクトで私たちが最も大切にしたのは、先生方が安心して生徒と向き合える環境を整えることでした。

手作業で費やしていた膨大な時間を、本来注ぐべき教育活動へ取り戻すこと。
そのための基盤として、このシステムが確実に機能するよう、設計・開発・運用まで丁寧に支援いたしました。

■ 新しい“教育機関の情報基盤”として
今回構築した生徒管理システムは、日々の出欠入力から入試・学納金管理、進級・卒業までを一貫して管理する“学校運営の情報基盤”として生まれ変わりました。

現場の声を丁寧にすくい上げながら、今後も改善と発展を続けてまいります。

■ 主な技術スタック

・バックエンド
PHP 8.2 – サーバーサイド言語
Laravel 11 – PHPフレームワーク
MySQL 10.5 – データベース

・フロントエンド
Vue.js 3 – JavaScriptフレームワーク
TypeScript – 型付きJavaScript
Inertia.js – SPA構築ライブラリ
Quasar – UIコンポーネントライブラリ
Tailwind CSS – CSSフレームワーク
ビルド・開発ツール
Vite – ビルドツール
Playwright – E2Eテスト

本システムは、Laravel 11とVue.js 3を基盤としたモダンなWebアプリケーションです。TypeScriptによる型安全性、Inertia.jsによるシームレスなSPA体験、Quasar UIコンポーネントによる洗練されたインターフェースを提供しています。